ニュー・スキャンコンバータ管

 カソードにより放出された電子ビームは、垂直偏向板と水平偏向板により偏向された後、ターゲット面に衝突しターゲットに塗布されている蛍光体を発光させます。この発光によって描かれた入力信号波形は、にじみ等の光の散乱を防ぐためにもうけられた、細いガラス繊維を束ねたOFP(オプティカル ファイバープレート)を通ってCCD の受光面に導かれます。CCD受光面で光のエネルギーを電荷量(電圧)に変換。その電荷は、テレビの映像信号周期に等しい転送クロックで順次出力されたテレビモニタ上に入力信号波形を描きます。
 このように、構成されたCCDスキャンコンバータ管は、従来のリアルタイムオシロスコープ用CRTより偏向する範囲が小さくてすむために偏向感度が改善され、より広帯域化が可能となります。
 さらに、CCDスキャンコンバータ管は、従来のリアルタイムオシロスコープ用CRTより小型にすることができます。
 TS-8500/TS-8422では、このCCDスキャンコンバータ管を搭載して、高速単発現象や発生頻度の低いノイズ(グリッチ)を確実に捉らえることができるようになりました。
 今までは、2つの単発現象を捉らえるには、デュアルビーム型ストレージ管を使用する必要がありました。しかし、このタイプのストレージ管は、波形を長時間保存することは困難であり、また、蓄積部はビームによる焼損や機械的振動に弱いため取り扱いに注意しなければなりませんでした。
 このTSシリーズに搭載した、CCDスキャンコンバータ管は基本的に従来のオシロスコープに使用されているCRTと同じであり、焼損や機械的振動に対して特に強く、取り扱いも今までと同様に扱えます。
 また、TSシリーズの可変残光機能を無限残光状態にすると、長時間にわたり捕捉した波形を保存することが可能です。
 さらに、ビデオ出力をビデオレコーダに接続すると長時間の記録や長期保存・再生も可能です。

1-26図 CCDスキャンコンバータ管の構成