あいさつ

 株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 ここに当社第114期(2022年4月1日から2023年3月31日まで)における事業の概況についてご報告申し上げます。

 当期における我が国経済は、ウイズコロナヘの転換が進み、社会経済活動に持ち直しの動きが見られましたが、長期化するロシア· ウクライナ情勢並びに円安の影響による原燃料価格の上昇、部品供給不足の長期化など、依然として不透明な状況が続いています。
 このような状況の中、当社グループでは中期経営計画「REBORN」の基本方針にのっとり、徹底した固定費削減と成長戦略の促進を実現するための抜本的な経営改革を推進しています。

 中期経営計画における3層構造の収益改革の具体的な取組として第1層「徹底した固定費削減」では、印刷事業の連営見直しを行い、オペレーションコストの削減とともに、印刷事業で培った化学技術を応用した事業への転換により事業領域の拡大を図ることを目的として、2022年10月に岩適ケミカルクロス株式会社を設立しました。
 また、生産効率の向上に伴う収益力を強化するため、本年3月に在外生産子会社であるlwatsu(Malaysia)Sdn. Bhd.の全株式をSilitech Technology Corporationに譲渡することを決定し、生産拠点の国内集約を進めるとともに、株式譲渡先が属するWalsinグループからの電子部品採用の拡大、サプライチェーンの安定化及びビジネス協業のシナジー展開を模索していく予定です。

 第2層「事業の選択と集中及びアライアンスによる成長戦略推進についてはサブスクリプション・ビジネスの強化に向け、2022年12月に株式会社ネクストジェンと資本業務提携を行い、本年4月に自社コミュニケーションプラットフォームによるクラウドサービス「Blue Commpaas(ブルーコンパス)」をリリースしました。また、不動産事業の収益力強化を目的として、次期に賃貸マンション3物件を購入するため、特別目的会社に対する匿名組合出資を本年3月に実行し、連結子会社化しました。以上のとおり、中期経営計画1年目の施策については着実に進捗しています。

 当期は、中期経営計画の施策実行のための一過性の費用負担、円安の影響及び長期的な部品入手難に対応するため先行手配で調達した部品の在庫増加に伴い棚卸評価損が増加したこと等により、 当期の売上収益は229億3百万円(前期比1.2%減)、営業損失は9億8千3百万円(前期は5億1百万円の営業利益)、経常損失は9億5百万円(前期は5億9千万円の経常利益)となりました。また、lwatsu(Malaysia)Sdn. Bhd.の株式譲渡を決定したことに伴う減損損失2億7千万円を特別損失に計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は11億8千1百万円(前期は5億9千5百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 以上により、当期末の配当金については遺憾ながら見送らせていただくことといたしました。事情をご賢察の上、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

 当社グループでは、2022年度を起点に4年間の中期経営計画「REBORN」を策定し、聖域なき大胆なコスト構造改革、省エネ•効率化などカーボンニュートラル社会の実現に貢献する成長戦略、そしてESG経営を不退転の決意で推進しています。

 今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い、社会経済活動の一層の回復が期待される一方、ロシア・ウクライナ情勢を始めとする地政学リスクに対する懸念や部品入手難による生産活動への影響は今後も継続することが予想され、2023年度以降の事業活動への影響が懸念されます。
 このような状況の中、次期の連結業績につきましては当期に棚卸資産評価損を計上した棚卸資産の生産及び販売を見込んでいることや、当社の100%連結子会社であるgroxi株式会社の株式譲渡に伴う売上収益の減少及び特別利益の計上により、売上収益221億円、営業利益5億円、経常利益6億円、親会社株主に帰属する当期純利益13億円としています。

 株主の皆様におかれましては、今後ともご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2023年6月
代表取締役社長 木村 彰吾